多面的な発展で国際的な連携
2004年の気象法改正により民間に気象予報が開放されて10年余り経つが、気象情報産業の発展は今も多くの課題を抱えている。しかし、彭啓明は挑戦を続け、基礎的な天気予報から多面的に事業を開拓してきた。
一般的に気象リスクへの意識が高くない中で、気象業務拡大を続けながら、教育の責任も負っている。従来のマスメディアの放送による変革が望めない中、ヤフーと協力した「一分気象」などのネット番組など、ネットメディアを活用することで、若者層に人気となってきた。
最近では、雷情報サービスを推進しながら、さらにウェザーゾーンと協力して風力発電関連やその他の業務にも手を広げる。2019年に着工するオフショア風力発電所向けに、国内外の海洋気象予報を総合して、設置場所の決定プロセスを作成し、施工プロセスの誤りによる損失と工期遅延の発生率を引き下げられる。またスモッグ現象に対しては、大気汚染予報プロセスを策定し予報ビデオを製作するとともに、地方自治体の環境保護局と協力して汚染状況に応じて警報を出すという。こういった試みからは、気象情報産業の多面的な発展の可能性を感じさせる。
気象についての関心と情熱が彭啓明を動かす動力となっているのだが、さらに強い使命感も抱いている。台湾の顧客向けに留まらず、より広く環境問題にも目を向け、積極的に国際社会と連携し、世界気象機関(WMO)や国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)にも参加している。
実際のところ、台湾は気象情報産業の発展に恰好の立地にある。「台湾の気象変化は大変激しいのですが、変化が激しいほど、私たちは必要とされます」と彭啓明は語る。近隣の香港、シンガポール、フィリピンなどにも気象情報会社は存在しないのに、気象リスク管理開発公司は社員60人、年商1億元を超えるアジアでも有数の企業なのである。
気象情報産業は、オープンデータを中核とするデータエコノミーの産業であるため、彭啓明は業務の合間を縫って台湾政府にデータの開放を積極的に求めている。さらにはオープンデータ連盟の代表として、日本、韓国、タイなどアジア9カ国の力を集結して、互いに協力し合っている。
「オープンデータは普遍的価値があり、気象情報産業はデータエコノミー産業の一つでもあります。台湾はこれまでこの面で実績を積んできて、私たちのソフトパワーを展開する場となります」と、彭啓明は将来に楽観的である。
気象情報産業はデータエコノミーの一つでありそのデータは民間から収集され、シェアを核としたニューエコノミーでもある。彭啓明はその事業を社会への貢献に役立て、台湾をさらに前進させようとしている。
国境を越えた大気汚染現象は、近年大きく注目されているテーマである。
彭啓明と専門家チームは特色ある放送で 視聴者に好評を博している。
気候変動の影響で極端な現象が増えており、気象リスクへの認識の重要性が高まっている。(荘坤儒撮影)