開花の音に耳を澄ます
森林会場を行くと、展示スペースから変電施設、階段のすべり止めまで、すべて美学が統合されており、控えめな色合いを用いて大自然と一体化している。その中で唯一際立って目を引くのが、豪華朗機工(Luxury Logico)の作品「開花の音に耳を澄ます」だ。巨大な赤い花の球が樹林の中に浮かび上がる。
台北で開催された2017年夏季ユニバーシアードの聖火台で大きく注目されたLuxury Logicoは、台中花博で巨大かつ極めて複雑な作品に挑戦した。高さ15メートルの巨大な球に、機械、光電、音楽、映像などの要素を組み合わせたものだ。75種類の部品で697輪の花のつぼみを作り、世界最大のマシンの花を完成させたのである。
Luxury Logicoがこの作品への挑戦を決めた主たる要因は、専門性をサポートする公的部門の姿勢と決意だった。ただ、わずか8カ月という時間で、この巨大なアート作品を完成させるのは極めて困難な任務だった。
構想の段階では、Luxury Logicoは予算の枠を考慮せず、国際博覧会という高い位置付けから考えた。しかし、一つのパブリックアートとしては十分と言える1000万元の予算も、その構想実現には不十分で、チームは企業に出資を求めることを考えた。
Luxury Logicoの張耿華はこう話す。「私たちが作品案と見積もりを黄局長に提示したところ、黄局長は資金を募るのは難しくはないが、コスト削減のために中国大陸の部品を使うよりは、台中の企業にスポンサーを依頼した方がいいではないか、と言いました」
この時に大きな後ろ盾となったのは、台中の精密機械産業クラスターである。最初に支援を表明したのはトップ企業の上銀科技(HIWIN)だった。同社の蔡惠卿総経理の「若い人の夢の実現に協力しましょう」という一言である。利茗機械はモーター減速機を設計してくれ、さらに多くの企業が新製品を開発して提供してくれた。
こうして多くの企業の支持を得て品質も大幅に向上したが、製作費も上がっていき、最終的に7000万元に達した。
巨大な機械の花はプログラムとAIでコントロールされ、まるで魂を持っているかのようだ。つぼみが閉じたり開いたり、その時々の日照や風、人の声などによって変化する。
Luxury Logicoのメンバーは「開花は植物の生長であり、細胞分裂が最も盛んな状態です。この複雑な統合は、アーティストと政府と企業の関係にも似ています」と言う。
数々の複雑な事柄を統合してきた台中は、今まさに開花の時を迎えている。
環境保全の精神と科学技術を融合させた美の体験。見学者は今までにない展覧会を経験できる。
「花舞館」に設けられた蘭の展示エリアでは、台湾の蘭産業の実力を紹介している。
花博をきっかけに葫蘆墩公園には花をテーマにした数々のガラスのパブ リックアートが設置され、一層美しい公園になった。
后里森林会場の動線をたどっていくと、植物が一粒の種から生長し、花を開くまでの過程が展示されている。
豪華朗機工(Luxury Logico)の作品「開花の音に耳を澄ます」だ。高さ15メートルの巨大な球に、機械、光電、音楽、映像などの要素を組み合わせたものだ。75種類の部品で697輪の花のつぼみを作り、世界最大のマシンの花を完成させたのである。(荘坤儒撮影)
豪華朗機工(Luxury Logico)の作品「開花の音に耳を澄ます」だ。(荘坤儒撮影)