東南アジアへの教育輸出
近年、東南アジアに駐在する我が国の代表機関には、留学生募集という新たな任務が加わった。
駐ベトナム台北経済文化弁事処教育組の陳郁仁組長は、少子化の進む台湾では今後、数十の学校が学生不足という脅威にさらされることとなり、それを解決するには学生を増やさなければならないと指摘する。「台湾の高等教育は海外の学生を受け入れる良好な条件を備えており、東南アジアはその最良の対象地です」と言う。
駐ホーチミン市台北経済文化弁事処の欧季曦・教育秘書によると、昨年だけで4回の留学説明会を開いており、多くの学生が参加した。
ベトナム国家大学ホーチミン市校の人文社会科学大学東方言語学科で学ぶ4年生のヴォン・ファット・リエンさんは中国語のレベルが高い。彼女の姉はすでに台湾に留学しており、自分も台湾でさらに勉強を続けたいと言う。
説明会では、台湾留学経験者の実際の話も聞け、学生たちには大きな参考になる。
台湾留学経験がある卒業生協会の会長を務めるグエン・フィー・ビクさんは、初めて台湾の中央大学を卒業したベトナム人だ。2010年に卒業して帰国すると、すぐに大学教員になり、2012年からは農林大学機械学科の主任を務めている。彼は台湾留学を目指す学生たちに「台湾文化はベトナム文化と9割がた共通しているので、心配する必要はありません」と語った。
2014年に台湾の教育部短期華語文奨学金を得て台湾で9ヶ月中国語を学んだクー・フィー・ヘップさんは今はベトナムの日系企業で働いている。
「ベトナムの次に好きなのは台湾です」と、これまで10カ国を旅し、中国語、英語、日本語、ベトナム語が話せるクーさんは言う。「台湾は最も美しい土地ではありませんが、融合されている感じが心地良いのです。臭豆腐も大好きで、週に3階は食べていました」と言う。
クーさんは、台湾の食や人情に惚れ込んでいるだけではなく、素晴らしい成績も上げた。台湾大学語文センターの作文コンクール初級部門で第1位に輝き、第3回「Fabulous Taiwan」影像コンクールでも優勝したのである。
これらベトナム人学生の台湾留学の背後では、台湾企業が大きな役割を果たしている。
駐ホーチミン市台北経済文化弁事処の梁光中処長によると、ベトナムに進出した台湾企業は何世代にもわたる長期経営を目指しており、そのために現地幹部の養成が不可欠だ。「幹部養成のためには台湾留学が非常に良い手段なのです」
そのため、政府と学校、卒業生、台湾企業が力を合わせて台湾留学説明会を開いており、ここで多くの学生が台湾留学を決めているのだ。