あちこちからの寄贈で2000冊
現在2272冊に及ぶ蔵書は、あちこちからの力の結集だ。まず、曹良賓が自らの蔵書400冊を寄付、これに刺激された政治大学の郭力昕教授が手元の書籍を24箱に梱包し、自ら図書室まで届けた。スタッフは書籍整理に3カ月以上費やしたという。日本の写真雑誌『IMA』からは同季刊誌3箱が航空便で届けられ、アメリカの写真家ロバート・フランクは曹良賓の訪米の際に写真集名作数冊を寄贈してくれた。また、曹良賓が文化交流でパリを訪れた際、台湾の写真集を数10冊寄贈したが、その3カ月後にはフランス国立図書館から、それら書籍の所蔵先などの詳しい資料が送られてきた。利用者がLightboxのSNSサイトで問い合わせをすることもある。ある日本の写真家の書籍がないか尋ね、Lightboxの蔵書にないことがわかるとネットで注文、その受け取り先の住所は同図書室という具合である。
蔵書は半数が写真集であるほか、写真史、写真評論、写真雑誌、写真展カタログなどもある。図書増加に伴い、より広いスペースへの移転を考えるほか、曹良賓は蔵書の範囲を撮影技術や映画・動画などにも広げることを計画中だ。
「予算を組んで書籍を購入すれば話は簡単ですが、好みの偏りが出るし、おもしろくもありません。さまざまな寄贈者やボランティア、利用者と出会いながら1年でゆっくりと2000冊の目標に達しました」彼にとって、各方面から集めることこそがおもしろく、寄贈者は190名に及ぶ。さまざまな写真愛好家と接し、写真に対する彼らの疑問や興味を理解することができるからだ。
同好会というものは、興味を同じくする者を集めやすい一方で、初心者には敷居が高い。「専門性を持たせながらも、閉鎖的ではなく、グループを発展させながら異なる領域の人を取り込む。これが我々にとって大切なことです」海外の人材とも交流できるよう、Lightboxは海外からも専門家を招き、講演やワークショップを催す。
2018年に修築完成予定の「国家撮影文化センター」は、台湾写真史、写真芸術、写真資産の研究、所蔵、展示、教育、普及を設立趣旨及び発展方向とするが、これはLightbox写真図書室とどう異なるのだろう。
曹良賓によれば、センターには蔵書スペースはない。現在の図書分類方法では多様な写真の発展に追いつかないし、自らの蔵書だけに頼るにも無理がある。「美術館にある図書室とは異なり、収集や整理、普及に重点を置く場、いわば台湾写真出版物のアーカイブ的な存在と言えます」
アメリカの著名な芸術評論家であるスーザン・ソンタグは自著『写真論(On Photography)』で、書籍は写真を並べるには最も影響力のある方法であり、それらの寿命をも保障してくれると言う。書籍の印刷数が年々縮小し、写真の未来も明るいとは言えないが、Lightboxは発熱と発光を続ける。写真のエネルギーを集結し、台湾の写真の価値に焦点を当てることで、台湾の写真文化の自覚と自決を促すだろう。
Lightbox写真図書室では、開放的な共有スペースを提供し、知識をシェアしている。