「光華」国内版3月号の原稿が出揃ってきた頃、百年に一度とも言われる猛烈な寒波が台湾を襲い、標高の低い山々までが純白の世界となった。雪景色を見ようと車で山へ向かう人、雪遊びを楽しむ人がいる一方、寒波は植物や養殖漁業に大きな打撃を与え、悲喜こもごもの凍てつく日となった。その後、1999年の台湾大地震以来の大きな揺れが南台湾を襲い、私たちから大切なものを奪っていった。次々とメディアが伝える状況に、胸が痛んだ。
自由な文学創作とは異なり、取材報道はペンとカメラがともに歩む遥かなる旅といえる。その道は険しく遠く、深く分け入っていくほど大きな収穫が得られる。そのプロセスにおいては、時に一点を凝視し、時に彼方を見据えなければならない。
『光華』の海外リポートは、先のタイ・ミャンマー国境地帯の難民キャンプに続いて、今月はベトナムを訪ねた。「増えるベトナムからの留学生」「ベトナムに根を張る台湾のNGO」「ベトナムに華語教育の種をまく」といった現地での努力は、近年、台湾とベトナムとの間の交流の懸け橋として大きな役割を果たしている。「東南アジアからの風」シリーズは、東南アジアから台湾へ嫁いできた女性とその子供と学校の先生が手を取り合い、一緒に里帰りをする旅の物語である。その旅がいかにして実現し、今後どのように続けていくかを考えたい。
ベトナムの華語教育、そして東南アジアへの里帰りと、ペンとカメラを携えた取材の旅は、たくさんの収穫を得て帰路についた。
世界的に中国語学習がブームになっているが、中国語の正体字/繁体字教育において台湾は重要な使命を負っている。今月はこの中国語学習ブームをテーマに、台湾における新たな華語教育の取り組みをご紹介する。政府と民間が協力し、都市の美学と空間を取り入れた多元的なカリキュラムが実施されている。文化クリエイティブ、芸術文化、ライフスタイルなどを通して台湾を体験し、台湾をプロモーションしようという取り組みである。
活字の世界に携わる者は、その言葉と写真のエネルギーを信じなければならない。その文字と写真のどこかに未来へ続く道が読み取れるものであり、その美しい瞬間は夜空の星のように永遠に残る。台湾の美しい瞬間として、今月号は鄭恵中のシンプルな布の衣と、原住民の血を引くアーティスト以莉・高露の歌声をご紹介する。二人はそれぞれの世界で、過ぎ去ったものの中に大切な何かを見出し、強い意志をもって理想を貫く。人間の原初の美と自然への回帰は、まさに美しい瞬間と言えるだろう。
もう一度、春節前夜に発生した地震の現場に目を向けたい。張愛玲は「あの騰騰として昇る煙は、魂の重み」と述べた。煙と塵の中に失われた生命の重みに心を寄せなければならない。
励まし合い、感謝し、手を合わせて台湾の平安を祈ろうではないか。