各界コラボで台湾製を
『一把青』は9割以上を台湾で撮影することにこだわった。台北、新北、桃園の空軍基地、新竹、苗栗、台中后里の馬場、雲林虎尾砂糖工場、嘉義と台南神学院、高雄醒村、そして最後に上海や南京にも足を延ばし、主なロケ地は27を超えた。俳優は300名以上、エキストラも約2000名、国内外のポスプロ専門人員200名、そして700シーンのCG、600ショットの3D特撮を駆使している。とりわけ監督は台湾製であることにこだわり、各界からの協力を仰いだ。
「現在の台湾では何をやるにしても各界の協力が必要です」今回、CG制作を請け負った特撮監督の厳振欽は、映画会社「中影」を辞めた後、若い世代を率いて会社を設立していた。まだ在学生もいるような若者たちで、厳しい予算の中、戦闘機の飛行や戦闘などの特撮シーンを、海外作品に引けを取らない高いレベルで作り上げた。
財団法人国家実験研究院高速ネット計算センターもポスプロに加わった。つまり、台湾のテレビドラマがスーパーコンピュータとコラボした記念碑的作品となったのである。映画『ライフ・オブ・パイ』や『黒衣の刺客』などでも台湾のポストプロダクション技術は徐々に認められつつあり、同センターでも画像化ジャンルの人材を計画的に養成している。
「政府から得た6000万元で、若い世代がポスプロの全工程を経験し、かつ彼らに歴史を伝えることができれば、6000万の価値は大いにあります。アイドル・ドラマを作って何の影響も残さないよりは」と曹瑞原は言う。
かつて『冬のソナタ』『秋の童話』などでアジアじゅうが韓国ドラマの発展を知り、質の高い日本の大河ドラマは華人にもファンが多い。アリババ・グループ総裁、馬雲も映像産業のソフトパワーに注目し、積極的に投資や人材養成を進めている。中国のドラマ『宮廷の諍い女』は台湾でも幾度も放映されるなど、テレビドラマの文化的影響ははかり知れない。
曹瑞原は「やりたいのは、ドラマを作ることだけでなく、我々にもこういうことができる、ということを多くの人に見せることです」と言う。
白先勇の原作で、陳小霞が音楽、董陽孜が題字、方序中がデザインという顔ぶれの『一把青』は、曹瑞原監督のこだわりによって、芸術文化と映像産業各界が協力し、台湾映像産業の実力を示した。この作品が、社会の思考や若い世代との対話を生み出し、視聴者にとって収穫となることを期待したい。
衣装から道具、背景まで丹念に作り上げ、30回シリーズの製作費は1.8億台湾ドルに上った。(台北創造提供)
史料蒐集は難しく、脚本の黄世鳴(右)は2年半をかけてようやく脚本を完成させた。写真は彼と女優の楊謹華が演技について話し合う様子。
金曲賞受賞者である音楽家の陳小霞(右)は、今回も曹瑞原に感動させられ、サウンドトラックの制作を引き受けた。
空軍を題材とする映像の制作は非常に難しく、スタッフは限られたリソースの中で懸命に努力した。(台北創造提供)
空軍を題材とする映像の制作は非常に難しく、スタッフは限られたリソースの中で懸命に努力した。
『一把青』は強い気概を持って台湾のドラマ制作に新たな一ページを開いた。