家庭内でもコミュニケーション
雅青さんは、コミュニティカレッジと姉妹会で学んだコミュニケーション方式を家庭でも応用している。夫の家族は、彼女が社会運動に取り組むことに最初は賛成していなかった。姑は進歩的な人だが、それでも雅青さんが街頭で抗議活動をするというのには抵抗があった。そこで雅青さんは姑にこう話した。「みんなが、新住民(東南アジアからの結婚移住者)の子供は発達が遅れがちと言うけれど、自分の孫にそんなレッテルを貼られたいですか」と。姑は、もちろんそんな言い方に承服できず、雅青さんが街頭に出てステレオタイプのイメージを打破することに賛同してくれた。「自分の権利は自分で守る」というのが、彼女が街頭で学んだことなのである。
子育ても同じだ。雅青さんは厳しい母親で、息子には家事の手伝いをさせる。息子には自分の責任を分からせ、自分が何をしているのかを分からせることが大切だと考えている。そして何か問題が起きたら、その都度みんなで話し合う。
夫や姑に支持されている邱雅青さんは幸運だと考える人も多いが、「どの家庭にも、どの夫婦にも、他人には言えない複雑な面があるものです」と彼女は言う。彼女自身、絶えず家族とのコミュニケーションを繰り返すことで、今のように自由に自分のことができるようになった。家計を心配する必要はないが、だからと言って自分が独立しなくても良いとは思っていない。
識字コースでの啓蒙と、姉妹会での成長、そして街頭運動での洗礼を受けた邱雅青さんは、2008年に国家青年公共参与賞卓越貢献賞を受賞した。2014年には超越基金会の招きを受けて「超越達人」公益教育プログラムに参加し、自分がいかにして困難を乗り越え、問題を解決し、自分を乗り越えてきたかを語った。彼女は、東南アジア出身の結婚移住者たちが平等な権利を獲得できること、また自分自身が根を張って暮らす台湾を、公平で新移民に友好的な社会にするために力を注いでいるのである。
邱雅青さんは、参加する側から講師として皆の前で話をするまで、組織の中で成長してきた。南洋姉妹会の理事を務めたこともあり、今は執行秘書を担当している。(邱雅青提供)
外へ出て多くの人と接触するよう励ましてくれた姑に、邱雅青さんは感謝している。(邱雅青提供)
2008年、邱雅青さんは国家青年公共参与賞卓越貢献賞を受賞した。(邱雅青提供)