英語ガイド教育の道
そうした中、新型コロナウイルス感染症が広がり、台湾を訪れる外国人は激減、鍾炘儒は創業以来最も深刻な状況に直面した。2020年の年初から一人も申込者がいないという状況が増え、同年3月19日には全ツアーを停止した。
だが、幸い「来去フォルモサ」は2018年からもう一つのビジネスモデルをスタートさせていた。英語ガイド育成という事業である。鍾炘儒は起業後に多くの学校から講演に招かれており、それがきっかけで2019年に「Meet Up Formosa」というサブブランドを立ち上げ、英語ガイド養成のカリキュラムを提供し始めたのである。例えば、夏休みや冬休みに、中高生を対象に「青年外交官英語ガイド研修」を行なったり、博物館などから英語ガイドボランティア育成を請け負うなど、英語による台湾紹介を奨励‧推進している。
「英語力」を強化するために、鍾炘儒は創業当初に第1回ガイド育成カリキュラムに参加した黄仲儀に運営を任せた。政治大学外交学科を出た黄仲儀は、学んだものを仕事で活かせないことを残念に思っていて、ガイド育成に取り組むことにした。「外国人に英語で台湾を紹介することは、第一線の国民外交と言えます」と言う。
新型コロナウイルスの影響で、このカリキュラムもオンラインサービスを強化し、南投商業高校や屏東科技大学などの観光学科や外国語学科、あるいは高校の英語学級のためにガイドテクニックの授業などを行なっている。黄仲儀によると、2030年バイリンガル国家政策と新しい教育カリキュラムのニーズから、多くの教師や親は、生徒が教室から出て英語で現地の風土や生活を紹介できるようになってほしいと考えている。
「来去フォルモサ」は観光ガイドと教育という二つの事業を並立して発展させている。鍾炘儒は、台湾は安全で便利なので、海外からのバックパッカーが戻ってきて、無料徒歩ツアーに参加すれば、台湾をより深く理解でき、台湾をもっと好きになってくれるはずだと語る。
無料歩行ツアーに参加すれば現地の歴史や文化に触れられる。右の写真は総統府、左は台北の龍山寺。
無料歩行ツアーに参加すれば現地の歴史や文化に触れられる。右の写真は総統府、左は総統府。
街を歩いて地域に触れる外国人旅行者。(林格立撮影)