大自然の魔法使い
台湾キノコ文化館には、台湾野生キノコ類生態ゾーン、台湾毒キノコ類生態ゾーン、キノコの裏庭、ミクロの世界、キノコの故郷、キノコ類と健康、食用キノコの発展史、パソコン・視聴覚室などがあり、キノコをさまざまな角度から紹介している。
「台湾野生キノコ類ゾーン」では、各種キノコの写真や、キノコの石膏模型、生育環境などが展示されている。
キノコ類は、その生長の様子によって、「寄生」「腐生」「共生」の3種に分類される。「寄生」とは、キノコの菌糸が直接植物体に侵入し、植物に寄生しながら生長するもので、また「腐生」とは、枯れてしまった植物体の中で菌糸が生長するものを指す。また「共生」とは、植物の根に菌糸が侵入し、植物が土から養分摂取するのを助けながら、植物体からも養分をもらうという生長の仕方だ。いわば双方に利のあるやり方で、例えばマツタケなどがこれに属する。
松の木と共生するマツタケは、台湾中部山岳地帯の八通関や阿里山の松林に行くと、ときどきその姿を見かける。現在のところマツタケの人工栽培はまだ軌道に乗っていないことから、極めて貴重とされ、1キロ1万元以上の値をつけたこともあるほどだ。
欧米では有名なトリュフも、大樹と共生する共生菌で、数少なく高価なことから、欧米では「ブラック・ゴールド」とも呼ばれている。トリュフは土の中に生えるので、フランスの農家ではこれを採集するのに、豚や犬など嗅覚の鋭い動物を使ってトリュフを探し出す。
「台湾野生キノコ類ゾーン」では、台湾野生のキノコであるキヌガサタケを特別に紹介している。白いスカートを身にまとったような姿をしたキヌガサタケは、今では食材店ですっかり馴染みとなっているが、あれがキノコ類の一種だと知らない人も多いのではないだろうか。間違って竹の一部分だと思われていることも多い、透明な網状をしたキヌガサタケは、実は「レースのスカート」を身にまとったキノコなのである。キノコ類文化館の解説員によれば、キヌガサタケの特殊なところは、約8時間でその成長を終える点で、とりわけ「スカート」を披露する時間はたったの40分だそうである。
色とりどりのパラソルのように、さまざまなキノコ類はとても愛らしい。だが、どのキノコも食べられるというわけではなく、危険な毒を持ったキノコもある。「毒キノコ類」の展示ケースには、台湾の野外に生息する有毒のキノコが示されており、識別用に写真が並べられているほか、本物そっくりの模型も置かれている。見かけは美しい色をしたかわいいキノコだが、しっかりと覚えて、絶対口に入れないようにしなければならない。万一、誤って食べてしまった時のために、このコーナーでは簡単な緊急処置方法も紹介されている。
毒キノコの毒素は生物毒に属し、間違って毒キノコを食べた場合の中毒症状には、むかつき、吐き気、腹痛、下痢などが見られ、症状の重い場合は肝臓機能が衰弱し、命を落とすこともあるという。万一、中毒になった場合は、なんとかして吐き出すことで毒物を取り除き、それから直ちに病院へ行って、胃腸の洗浄を受けなければならない。
50〜70万倍の「キノコ類ミクロの世界ゾーン」に入ると、キノコの繁殖のプロセスを一目で見渡すことができる。 これらの色鮮やかで愛らしいキノコ(写真1〜4)は、すべて毒キノコだ。マッシュルーム(写真5)と霊芝(写真6)の模型も良くできている。