都市が大躍進
オープンデータは都市のガバナンスとも密接にかかわる。今(2018)年、経済部工業局と地方自治体が共同で推進する7つのモデルも、スマートシティへの基礎作りになる。
従来、ラッシュアワーには警察が交通整理に当ってきた。だが過去の交通量、車両タイプ、移動時間等のデータから地域の交通モデルを構築し、リアルタイム道路交通情報を組み合わせることで、10〜60分後の予測が可能になる。これによって信号機コントロールプランを立て直し、渋滞を緩和し、人的コストも削減できる。
台中の大雅インターチェンジは利用頻度が高く、夕方や休日には必ず渋滞する。
景翊科技は交通監視カメラ(CCTV)、ETC、GPS、可変標識などのデータを統合し、域内交通モデルを構築した。さらに、各交叉点やランプウェイに車両検知器を設置して交通量データを収集し、長期的なモデルとリアルタイム交通量を合わせて高精度の予測モデルを作る。さらに5分毎に自動的に域内の信号機の秒差を調整する。こうして移動にかかる時間が約10%短縮され、それを全く人手に頼らずに行うことができた。
2016年に台風17号が通過した後、台南市は宸訊科技(EMCT)と共に被災状況を把握した。台風上陸前に衛星・航空写真と農業データから被災前の画像を整え、作物分析情報を構築した。台風後は、携帯型被災状況把握ツールと申告案件の所在地・作物データを用いて、被災状況把握を、従来の6週間から10日以内に短縮した。耕作再開が早まって農業生産額も向上した。データ活用が市民にも行政にも利益をもたらしている。
オープンデータの民間諮問委員を務める陳奕廷は、観光局との相互関係の実例を紹介する。従来、政府はデータの応用に限られた認識しかなかった。観光局に簡単なアンケートの実施を提案し、空港の旅客インフォメーションセンターでの観光客の質問について統計をとった。1年の統計で、驚くべき事実が発覚したのである。
桃園空港の場合、1日延べ約5000人の問合せがあり、3分に1度回答する計算になるが、その内37%の質問が「トイレはどこ?」だったのである。つまり、データがもつメッセージを読み取れば、出口に目立つように表示するだけで、係員の忙しさを軽減できるのである。
オープンデータ連盟秘書処の張雅婷は、民間産業の需要を整理し、政府と協力して双方に有利な環境を生み出している。