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暮らしと風習
台湾の旧正月
翻訳・山口 雪菜
3月 2024
苗栗の火旁龍(林民基)
火旁龍は苗栗県の客家集落で元宵節に行なわれる伝統行事だ。銅鑼や太鼓の音が響き渡る中、龍が爆竹の海の中を駆ける姿は、まるで神龍が雲霧の中を飛んでいるように見え、邪気を払い、福を招く春節のおめでたさを象徴している。
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天灯上げ(舒威)
旧正月の期間中、新北市の十分風景区では天灯フェスティバルが開かれ、多くの観光客が訪れる。天灯がゆっくりと空に上り、そこに願いを託すというのは、台湾でも最も魅力的な文化活動の一つと言える。
紅亀粿(王朝騰)
紅亀粿(赤く染めた餅に餡を包んだ亀の形の菓子)は、神仏にお供えした後にいただくと平安がもたらされると言われる。赤い色は吉祥を表わし、丸い形は団らんや調和を象徴し、さらに長寿や吉祥、富貴などの意味もこめられている。
年糕(餅)を蒸す(張利聡)
多くの家庭では、旧正月前に甜粿(甘い餅)、発粿(蒸し菓子)、菜頭粿(大根餅)などの食品を用意する。店ではこれらを蒸す作業に大忙しで、あたり一面に甘い香りが漂う。
迪化街の年末買い出し(張秀凰)
台北の年貨大街(歳末買い出し祭り)は台湾を代表する年末の行事で、この時期、迪化街は多くの買い物客でにぎわう。
書道家による春聯実演(張秀凰)
新年を迎えるにあたり、書道家たちが筆を揮って春聯を書き、集まった人々に贈る。春聯の赤はおめでたさを象徴し、毛筆の文字や絵柄は新春の祝福を表わす。春節を迎える縁起物である。
新年の祝い(許承睿)
宜蘭の伝統芸術センターでは春節に獅子舞を行なう。獅子舞は一般に二人一組で一頭を演じ、銅鑼や太鼓の音色の中でにぎやかに新年を迎える。獅子のコミカルな動きは生き生きとしていて観客から喝采が巻き起こる。
天を駆ける龍(黄慧琴)
彰化県鹿港で最も春節らしい雰囲気を味わえる「花灯大道」は自転車で楽しむことができる。通りの上に飾られた龍のランタンは、夜になるとライトアップされ、多くの人が訪れる。
過香炉(林格立)
「過香炉」は「過火」とも言う。多くの人が初詣に行くと香炉の前で祈りを捧げ、御守りを香炉の上で3回まわし、新しい一年のご加護を祈る。
台湾のランタンフェスティバル(林格立)
台南普済殿前の通りにはカラフルな手描きのランタンが1500個も飾られている。すべて近隣住民が創意を発揮して描いたもので、まさに台湾らしいランタンフェスティバルと言える。
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