多様な文化を
社会の垣根を乗り越えるため、半年前、発行部数3万部を突破した「四方報」はコンビニ内での販売の交渉を始めたが、OK便利店以外からは断られた。OK便利店ではこの1月10日から、1部20元、国際電話カードと合わせて49元で販売されている。
張正編集長は、これは「文化闘争戦略」だという。弱者である移住者の力を結集し、自分たちのメディアを構築した後、主流の場へと出ていく。そして台湾人に自分たちの力を示して理解と興味を引き出していく。新移民にも才能があり、読書や執筆を望んでいるが、メディアを使う権利を剥奪されていただけなのである。
さまざまなメディアに関わってきた譚雲福さんは、小衆メディアはやはり自分たちを救うだけで精いっぱいだと考える。また、主流メディアが新移民を犯罪や台湾人の素質を下げる「社会のトラブルメーカー」と扱っていることを批判する。
中正大学マスコミ学科準教授でメディア観察教育基金会理事長でもある管中祥さんは別の角度から観察する。人口の移動が頻繁な現在、ビジョンのある国は積極的に外国人労働者や移民のためのメディアを運営しており、それを「文化多様化のインフラ」と位置付けている。
例えばオーストラリアでは、世界各地からの移住者のために、公共テレビが移住者の母語の番組を英語の副音声付きで放送している。これを通して人々は互いに「他者」の生活経験や価値観を理解することができ、社会の調和を促し、広い世界観を養うことができる。
しかし台湾では、外国人配偶者の文化政策は中国語学習と「帰化試験」の強制が主な方針で、外国人労働者は社会から隔離され、集会や結社の自由も保障されていない。
かつて台北市の外国人労働者文化政策を推進し、現在は台湾国際労働者協会顧問とスカラブリニ移住センター台湾支部事務局長を務める龔;尤倩さんは「不当な政策が偏見を生む」と指摘する。外国人労働者と外国人配偶者の位置づけや関連法令は異なるが、彼らはその政策思考が内包する「人種差別」の被害者なのである。
今や台湾では新生児の10人に1人が新移民の子供であり、移住労働者の数は原住民族の人口に迫りつつある。多くの学者は、政府は台湾がすでに多民族社会となっている事実を直視し、より多くの資源を配分すべきだと指摘する。例えば、東南アジア言語を母語教育課程に加える、新移民専属のTVチャンネルを設ける、外国人労働者の休暇権を保障するなどだ。新移民が力を発揮できる環境を作れば、その恩恵を受けるのは台湾社会なのである。
偏見を捨てて彼らの文章を読めば、それが創意と勇気に満ちた生命の書であることに気付くことだろう。
背景のイラストはベトナム人労働者陳氏桃さんの作品。テーマの「英雄」は海を渡って働く移住労働者である。
1989年以来、台湾ではのべ数百万の外国人労働者が底辺の仕事に従事し、台湾社会に大きく貢献してきたが、彼らの声や権利が重視されたことはない。ここ数年は、東南アジア言語のラジオ放送や新聞発行が始まり、変化への第一歩を踏み出した。
発表の場さえあれば、外国人労働者も外国人配偶者も驚くべき創作エネルギーを発揮する。「四方報」に寄せられる読者からの投稿にはイラストが添えられているものも多い。右は四大祭典をテーマとしたイラスト。上から、新年(阮氏蓉作)、女性の日(陳維興作)、メーデー(同)、中秋節(陳氏雪蓉作)。
フィリピン出身のNe Ne Ho(何)さんは、自宅の居間で新聞を作っている。彼女は台湾に暮らすフィリピン人たちに「数行でも構わないから」「疲れていても頭を鍛えないとおかしくなるから」と文章を書くことを勧めている。膝の上で写真を見ているのは1歳10ヶ月の孫娘。
ジャーナリストの張正さんは「四方報」をweb2.0にたとえる。読者は主役であるだけでなく、著者や記者をも兼ねているからだ。彼は自らが踏み台となり、移住労働者や外国人配偶者の声を四方に伝えたいと考えている。
1989年以来、台湾ではのべ数百万の外国人労働者が底辺の仕事に従事し、台湾社会に大きく貢献してきたが、彼らの声や権利が重視されたことはない。ここ数年は、東南アジア言語のラジオ放送や新聞発行が始まり、変化への第一歩を踏み出した。
1989年以来、台湾ではのべ数百万の外国人労働者が底辺の仕事に従事し、台湾社会に大きく貢献してきたが、彼らの声や権利が重視されたことはない。ここ数年は、東南アジア言語のラジオ放送や新聞発行が始まり、変化への第一歩を踏み出した。
発表の場さえあれば、外国人労働者も外国人配偶者も驚くべき創作エネルギーを発揮する。「四方報」に寄せられる読者からの投稿にはイラストが添えられているものも多い。右は四大祭典をテーマとしたイラスト。上から、新年(阮氏蓉作)、女性の日(陳維興作)、メーデー(同)、中秋節(陳氏雪蓉作)。