異常気象で節気も狂う
鳥やチョウ、そしてあらゆる植物は、大自然のリズムにしたがって生きているが、大自然のリズムも時には狂う。
2016年、台湾では平地で雪が降り、夏は過去最高気温を更新し、秋には強い台風が豪雨をもたらした。こうした異常な気象現象のために、今年、秋の渡り鳥を観察するバードウォッチャーたちは多数の迷い鳥を記録することとなった。オレンジツグミが高雄の旗津まで迷い飛んできて、龍洞ではツメナガホオジロが観察され、また華江雁鴨公園では数日にわたってサシバが旋回する様子が見られ、いたるところでキビタキやマヒワなどが観察された。これらの迷い鳥の数は例年の数倍にのぼった。
異常気象によって農家の苦労も増えた。今年は茶を含むあらゆる作物の収穫期が遅くなり、しかも収穫量も大幅に減少したのである。優れた農家に贈られる神農賞を受賞した林清源も「二十四節気まで狂ってしまった」と嘆く。
作物だけではない。新北市の山間部猴峒では毎年「霜降」の後の10月末に稀少なブレッシュネイデラ・シネンシスの開花期を迎えるのだが、今年は10月を過ぎても一株も花をつけず、17年にわたってブレッシュネイデラ・シネンシスの保護に取り組んできた植物専門家の陳清課をはらはらさせている。
これより先、例年なら桃園の拉拉山ではヤナギイチゴが春に花を開いて夏に実をつけ、カンムリチメドリやハナドリ、コシジロムシクイなどがその実を食べに集まってくるのだが、こうした光景も今年は見られなかった。1月に強い寒波が襲って拉拉山にも雪を降らせ、ヤナギイチゴが寒さでやられてしまったのである。同じく冬の記録的な寒さにより、武陵農場では本来なら2月22日に終わるはずのサクラの季節が3月10日まで続き、阿里山のサクラの指標である「桜王」も「春分」の3月20日にようやく満開を迎えた。
植物には外部の環境変化に合わせて自ら生理メカニズムを調節する力があるが、その環境の変化、あるいは悪化の責任は人類が負わなければならないと陳清課は言う。
節気のリズムは、これまで絶えることなく年々繰り返されてきた。大自然はその微妙な変化、あるいは激変によって、地球は人類だけのものではなく、あらゆる生命や大地のものであることを教えているのである。私たちは、生態学者アルド・レオポルドの著書『野生のうたが聞こえる』の中の言葉を胸に刻まなければならない。——「雁を目にする喜びはテレビを見る喜びより生き生きとして自然である。オキナグサを探す楽しみは、言論の自由と同様、剥奪され得る権利なのである」
野生のアカハラダカは、その渡りを通して人々に節気の情報を伝えてくれる。(林利中撮影)
凍てつく冬が来れば、二十四節気は再び振出しに戻り、新たな一年が始まる。