「七時半からディナー」
夜7時になると続々と人が集まってくる。もう一人の創業者である張育瑋さんが皆のグラスに酒を注ぎ、それを飲んでもらいながら今日のカリキュラムを紹介する。ほろ酔い加減で調理を楽しむのである。
一般の料理教室のように、先生が手本を示すのでもなければ、調理師免許取得コースのように、生徒がすべての作業を行なうのでもない。自煮生活の「柒点半開飯(七時半からディナー)」は、サラリーマンやOLのための教室だ。一日の仕事を終えて疲れている参加者のために、食材の仕込み作業は終わっており、調理過程もシンプルで、楽しく料理することが重点だ。カレー作りの日は、野菜カレーにタンドリーチキン、ナンと塩味のフルーツヨーグルトというメニューである。張育瑋さんは香辛料それぞれの特色を紹介しながら、皆にそれを炒めてもらい、それを鍋に移して食材を煮込む。煮ている間に今度は皆にタンドリーチキンや他の料理を作ってもらう。
先生が生徒に教えるという堅苦しい雰囲気はなく、友達と一緒に料理をするような気軽さが感じられる。張育瑋さんと呉卉婷さんは、料理をしながら食材の種類や育つ風土、栄養や選び方などを説明し、おいしい調理方法や食材の組み合わせの新たな発見なども話す。例えば、カラスミと甘いミカンの組み合わせといったアイディアを語れば、食材に対するイメージもふくらんでいく。
食材の産地巡りが好きな彼らは、出会った生産者のことなども話す。「産地の物語は食材選びの重要な情報です。例えば、普通に育てた小豆と、環境にやさしい方法で育てた小豆は風味も違ってきます」こういう話をすれば、参加者の消費行動も変わってくる。